救命処置を躊躇させるクソ言説の話
[倒れてる人がいる]→見殺しにする(せいかい)
↓
[AEDをとってくる]→扉を開けると鳴動するブザーを泥棒だと「正義」の市民にタックルされて負傷
↓
[AEDを使うために服を切り裂く]→レイプ魔と間違われ「正義」の市民に組み伏せられて負傷
↓
救命できずなぜか遺族から訴えられる— たまきにゃー(当アカウントは凍ったりしません) (@madshirase) 2017年12月13日
Twitterってこういう雑なのがすぐバズるんですけど、それぞれでどういうのがあるか見てみましょうね。
まず最初の【 [倒れてる人がいる]→見殺しにする(せいかい) 】ですね。論ずるに値しません。救命処置をしましょう。具体的手順は以下の通り。
続いて【 [AEDをとってくる]→扉を開けると鳴動するブザーを泥棒だと「正義」の市民にタックルされて負傷 】ですね。どうもこれは実例があるみたいです。
急病人と遭遇 AEDを準備も盗難と勘違いされ羽交い締めにされる(ライブドアニュース)
出張中の社員が公共施設で急病人に対しAEDを使用しようとした所、収納BOXの赤色灯とサイレンを盗難の警報と勘違いした正義感あふれるオッサンに羽交い締めにされるとかシャレならん目にあったそうな。処置が遅れて取り返しのつかない所になる所だったらしい。 pic.twitter.com/7DNQsYlWVO
— リラクマ (@rila9999) 2017年7月13日
勘違いした人による拘束はあったものの、要救助者は助かったみたいですね。救助に当たった人に負傷があったかはわかりません。負傷はどっから来たのかはわかりませんが、やっぱり助けるべきですね。
次は【 [AEDを使うために服を切り裂く]→レイプ魔と間違われ「正義」の市民に組み伏せられて負傷 】ですね。これも実例(らしきもの)があるらしい。
【とんだ災難】重体の女性にAEDを取り付けようと服を切る→痴漢扱いで事情聴取 - Togetter
敬意の部分を当該まとめから抜粋
AEDを使ったら痴漢で事情聴取された話が出回ってるからちょっとまとめようか
少し遠出して遊んでいるとき、たまたま交通事故に出くわす。
↓
幸いにも運転手は大きな怪我はないが、助手席に乗っていた女性がかなり危ない状態
↓
循環のサインが見られないので人工呼吸と心肺蘇生法を行う。同時に救急と警察への通報とAED調達の指示を出す
↓(承前)
近くのコンビニからAEDが届き、早速取り付けようとする
↓
服が邪魔なので一緒に入っているハサミで衣服を切ろうとする
↓
運転手「ちょっと待ってください!なんで服切るんですか!」
↓
運転手「痴漢だ!やめろ!(僕の腕を取り押さえる)」
↓(続く2)
僕「今はそんなことを言ってる場合じゃない!早く離せ!」
↓
腕を離さなかったので僕が無理やり解き、服を切る
↓
たぶんこの時に運転手が痴漢の通報(AED使ってたからわからない)
↓
けが人は搬送、事故処理の警察が駆けつけ事情聴取される
事故の事情聴取を受けてたら別の警察が到着、どうやら痴漢で通報を受けた警察
↓
たまたま事故の聴取も暇があったので運転手に痴漢の方の警察に突き出される
↓
痴漢の方の事情聴取、AEDの目的で服を切ったと供述
↓
事故と痴漢の警察官が話し合い、確認が取れる
↓(承前4)
正当性が取れたのでそれ以上、警察から痴漢で聴取されることはなかった。去り際に「とんだ災難でしたね」と苦笑される
↓
痴漢の方の警察官が運転手に事情聴取(その後の運転手はどうなったかわからない)
↓
警察署へ行って事故の調書を作るのに事情聴取を受ける
手当が早かったのでなんとか命だけは助かったとの報告を受ける(この先は不明)
↓
後日、感謝状の案内を受けるが、後味が悪かったので辞退する。
レイプ魔と間違えられて組み伏せられも、負傷もしてないですね。これも要救助者は助かったみたいでよかったですね。
こういうのもあるみたいです。
AEDメーカー「『男性が女性にAED使ったら痴漢容疑で逮捕された(されかかった)』的な話は知る限りではない。デマには困ってる」 - Togetter
最後に【 救命できずなぜか遺族から訴えられる 】ですが、これは数々の「AED訴訟」というものが実在しますね。千葉県ではAED使用にかかる訴訟についての貸付制度があるそうです。
AED利用、千葉県が条例で促進 救助巡る訴訟も支援:日本経済新聞
ただ、ざっとで検索してみた範囲では「公的機関や病院におけるAED使用がもっと早くに行われるべきだったのでは」と自治体や法人等を訴えたいう訴訟であって、医療従事者でもない個人がAEDを使った事によって提訴されたというのは見当たりませんでした。
で、冒頭のツイートを受けての、こちらもバズってるツイートがあったんですが……
RTの。前にも話したことがあるが、かつて心肺停止した見知らぬ人を助けた事がある。一緒に救命活動行った看護師さんが心肺蘇生完了後に「直ぐにこの場を離れましょう」と指示されたのが未だに印象に残っている。万が一助からなかった場合、ホントに訴えてくる馬鹿が居たからだそうで。
— 龍@12/10サバしよ! (@ryuRomeo1) 2017年12月13日
全くもってその通りだと思いますので、若い頃の私は実行しました。前職の警備会社で救急救命講習を定期的に受けていたので、直ぐに心肺蘇生法を実行する事が出来ました。それで、上記の内容を一緒に行った看護師に言われたと。
RTした記事など思う所があり、こういうツイートをしました。— 龍@12/10サバしよ! (@ryuRomeo1) 2017年12月13日
看護師と、警備会社で救急救命の講習を受けた人間が雁首揃えて、心肺蘇生にあたって救急車を呼ばない。そんなことがあるんですかね。信じがたいです。作り話では。善意が踏みにじられる世知辛社会みたいなのに乗っかる形でこんな嘘をつかなくてもいいと思います。ていうか、心肺停止してた人を蘇生だけして救急隊に引き渡さなかったとしたらたぶんそっちのが犯罪になると思います。保護責任者遺棄罪とかそのへんの。居合わせた人の救急救命って蘇生までじゃなくて医療機関に引き渡すまでじゃないですかね。どうもそのへんの書きっぷりがおかしい気がします。逆に、もし仮に引き渡すところまでやったのなら、そこにとどまる理由もないので看護師さんがわざわざ早く離れようって言った意味がよくわからないですね。
上の方に貼った救命処置のリンク見てもらったらわかりますけど、「1)反応を見る」の次が「2)助けを呼ぶ (119番通報とAEDの手配)」ですからね。仮にAEDのない時代の話でも初手救急車です。
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