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2016年7月29日 (金)

菅野完 『日本会議の研究』(扶桑社新書)2016/04/30

日本会議の研究 (扶桑社新書) 日本会議の研究 (扶桑社新書)
菅野 完

扶桑社  2016-04-30
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著者はTwitterで@noiehoieとして保守の立場から「反原発」「反差別」「反貧困」などの発言・活動。2012年にはタレントの親族の生活保護受給に端を発したバッシングに反発し「制度改正のために、個人を批判する必要はありません」という趣旨の新聞広告を掲載するための活動、Civil Action Japan(シビルアクションジャパン)を立ち上げて資金集め・広告掲載に成功。そのほか「レイシストをしばき隊」(現在は脱退)での活動など。noiehoie名義では扶桑社新書より『保守の本分』を上梓、本書は扶桑社系のWebメディア「ハーバービジネスオンライン」で2015年よりネット連載した内容をまとめたもの。ほかに共著で「踊ってはいけない国で、踊り続けるために」がある。

章立てと要約は以下のとおり

 

『はじめに』 本書内容のWeb連載時前後の政治状況と、著者の活動のきっかけや、そこから日本会議へ視点が移った経緯など。 

『第一章 日本会議とは何か』 昨今の右傾化する政治状況において、その推進力となっている「日本会議」とはどういう団体か……という概略。目指すもの、活動手法、構成する宗教団体の活動実態と多様性等々

『第二章 歴史』 日本会議の元となった「日本を守る会」の「元号法制化運動」の成功とその後の運動、組織候補・村上正邦から連なる動きと、村山談話・安倍談話の攻防など。それから日本会議と靖国神社について。中でも目を引くのは村上正邦氏へのインタビュー部分。

『第三章 憲法』 日本会議の反現行憲法、旧憲法復古的思考と運動について。特に緊急事態と家族に関わる条項について。

『第四章 草の根』 日本会議による運動の実態。地方議会への請願や思想を問うアンケートなどの働きかけ、保守論壇タレントの活躍の場、集会・動員と各種活動を可能にする実務処理能力について。

『第五章 「一群の人々」』 安倍政権周りの人物と、生長の家の学生運動、生長の家の原理主義的分派について。

『第六章 震源』 第五章の「一群の人々」を束ねる人物の掘り起こしと、その周辺史。一次資料や証言の少なさもあって、やや物語的な部分を感じなくもないが、一番筆がのっててスピード感があって面白い章。

『むすびにかえて』 本書のもととなった連載の取材と民主主義について。

『参考文献』 

 

生長の家を中心に神道系・保守系運動関連の資料を丹念に掘り起こした労作。当の日本会議からは内容・記述についての指摘があり、そのあたりは今後また白黒つく部分かと思います。ネット連載から手を加えずにまとめているため、一部図表(画像)が見づらいのがやや難点。図表については次版以降で見やすく組み直すなどはしていったほうがいいかもしれません。

本書では、これまで散々揶揄嘲笑の対象となってきた市民運動(記憶にあたらしいところだと反原発や安保関連法反対の動きに向けられたもの)、つまりデモ・署名・陳情・集会(動員)等々といったごく普通の民主的運動を厭わず倦まず弛まずやって成果を出してきたのが日本会議であり、その民主的でない思考と目的のために今後もごく民主的な手法とその実務処理能力をもって邁進していくであろう……というのを全編通して描いているように見えます。では、それに対抗する憲法護持あるいは各種国民の権利の維持発展(例えば表現の自由とか)の立場の人はどうしていけばいいか……成果を出した運動に倣うならば、民主的手法と実務処理能力(を持つ組織)をもって継続した働きかけをしていくほかなかろうと思います。最大の敵は「反民主主義的思考の民主的運動団体」よりもむしろ、各種市民運動を意識的にか無意識的にか無力化しようとする揶揄嘲笑冷笑的言説のほうかもしれません。

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