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2011年7月 7日 (木)

☆ 【ライトノベル】 作:かじいたかし/イラスト:皆村春樹 『僕の妹は漢字が読める』

ネタバレあります。

僕の妹は漢字が読める (HJ文庫) 僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)
かじいたかし 皆村春樹

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第5回ノベルジャパン大賞の銀賞受賞作品。

二十三世紀、漢字がなくなり萌えが席巻する日本で小説家を志す少年イモセ・ギン。彼が書いた未来の小説「かんじよむ いもうと」を意訳・改題したという体の本書。公式でアップされた試し読みだけで電波的なものの気配を感じましたが、読後にそれは確信に変わりました。

萌えが極限まで濃縮された世界を描く「ディストピア or ユートピアもの」であり、ライトノベルと純文学の境目について問う「メタ小説」であり、現代人と近代人の出会いを描いた「異文化の出会い」「ボーイミーツガール」かつ「タイムリープ」「歴史改変もの」であり……一章の公開自体も「言語ネタ」メインと錯覚させる「メタ小説」としてのブラフじゃないのかと思わせます。話の本筋は「タイムリープ」ですね。(括弧多いな……)

オオダイラ文体で描かれる未来の純文学には『ドグラ・マグラ』の「キチガイ地獄外道祭文」にも似た狂気、平成の世のケータイ小説が「文学」になってる辺りには『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の『妹空』からの時代の流れ、漢字のなくなった日本語の変遷は森岡浩之の星界シリーズにおけるアーヴ語、「へいせいてん」の「しょみんのへや♪」は筒井康隆の『最後の喫煙者』っぽさ……とライトな装いの中に濃いい要素が詰め込まれています。

ただ、クールなツンデレ気味義妹クロハ・猫耳ベレーの毒舌義妹ミル・タイムリープと同時になぜかツインテ美少女になってしまったオオダイラ先生・二十三世紀の現代文学の原点『おにあか』のヒロインに似ている平成時代の美女少女ユズさん、といったキャラクターたちや作中の掛け合いなどはしっかり「ラノベ」でもあり。中でも特にラノベっぽいのはギンの鈍感さ。まさにTheラノベと言っていい。

唐突な平成時代への移動は、これまた唐突に二十三世紀に戻り、最後は何者かによって改変された23世紀を元に戻すために再度タイムリープをして「俺達の戦いはこれからだ」的に終わりますが、謎の観測者や平成時代の御先祖様の存在など、次作に続けられる伏線も残しているので楽しみです。終わっちゃうほうがキリがいい気はしますけども。いや、でも続けば「漢字が読める」設定がもっと活きるし……

ちょっと気になった点としては、「漢字のなくなった日本」の、近代(平成)のものとはかけ離れた「現代文体での話し言葉」が作中作に出ているにもかかわらず、現代人と近代人で会話が成立しているところ。ただ、これは「時代・文化を超えてなぜか会話が成立するお約束」なんでしょうね。

個人的には、二十三世紀の「へいせいてん」で出てきた「魔界天使ジ●リール」のくだりが、Toggeterでまとめられた非実在界隈のツイートと同じ文脈で真逆の解釈がなされているあたりにやられました。そうくるか、と。

アダルトゲームとイスラム

#hijituzai #hijitsuzai 『魔界天使ジブリール』が原因でテロ?

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