最近『今の大学生は頭悪い』という趣旨の調査が多くて、その調査自体ツッコミどころが多すぎて、逆に調べてる人の頭の悪さが心配になったりします。そして今日も僕は頭の悪い文章を書くわけです。
今日『とくダネ』で、大学生の漢字能力の低さについて特集してました。ありがち企画なので、どれだけ的外れなことを言うのかをチェックすることに。
元のニュース、以下は引用
大学生は漢字が苦手 高卒程度問題、正答率4割
高校卒業程度とされる漢字検定2級の問題で、大学1年生の正答率が39・8%しかなかったことが24日、日本漢字能力検定協会(京都市下京区)による初めての調査で分かった。大学生が高校教育課程の漢字を習得しないまま卒業、進学している実態が浮かんだ。
調査は今年4-5月、首都圏と関西圏、東海地区から無作為に抽出した中学、高校、大学の新入生と上場企業の新入社員計8365人を対象に実施。漢字検定で過去に出題した問題を使い、同音・同訓異字、熟語の読み書きなどを記述させた。
大学1年生には、「閑古鳥」「吟味」「醜聞」の読みや「魚のクサミ」「マイゾウ文化財」「門前のコゾウ」の漢字を書かせる問題などが出題された。
(共同通信) - 8月24日18時45分更新
引用以上
元になった調査は漢字能力検定協会が今年行ったもの。大学生の漢字能力の低下、特に四字熟語の書き取りの正答率は1割程度。まず、いつと比べて低下してるのかが全く分からないのが馬鹿丸出しだと思います。一応、以下が各カテゴリーの平均正答率。
漢字能力検定協会による調査の原本(PDFファイル)漢字の読み 62.7
部首 50.0
四字熟語の意味 45.0
漢字の書き取り 32.6
対義語・類義語 17.5
四字熟語の書き取り 14.5
まず、低下の根拠にこの数字を使うなら同じ調査を定点観測的に続けなければいつと比べての低下かが分かりません。もしかしたら数字は上昇しているかもしれませんから。はじめから『今の若者は漢字が分からない』という結論を導くための調査としか思えないですね。
これを出だしに、以降はとくダネ独自の調査になるのですが
以下に当てはまる漢字を入れよ
①□□坊主
②日□月□
③□心□心
④三□四□
⑤暴□暴□
どうせなら⑤は牛飲馬食とかを入れたほうが四字熟語の問題としてはいいと思います。
で、この問題をヤマンバギャルとかに聞いてるんですよ。サンプリングがどうなってるのか気になりますね。あと、全問正答者がいなかったのも、母数がないのに多いも少ないもないと思います。街頭で聞いてるから、テストと違ってボケ回答出しやすいし、回答する時間の設定が全員一緒かどうかも分かりません。
それから世代間比較もしないで漢字離れもクソもないと思います。当然ながら『大学卒業以降に覚えた漢字』を排除するために『昔大学生だった現在の社会人』に同じテストをしても意味はなく、今年以降に同じ大学で定点観測を行うなどの方法が必要になります。さらに言うと、一校だけだとテスト対策のカリキュラムを組む可能性も否定できないのでサンプルとなる大学を複数用意する必要があります。大学の偏差値も関係してきます。名前を書けば入れる大学と難関校で成績が違うのは用意に想像がつきます。
こんなアホ調査してるくせに、番組では国勢調査の方法を批判してるってのは笑っちゃいます。定点観測しているか、サンプリングは適切かなどの面では明らかに国勢調査のほうが適切です。国語より前に、統計の取り方と数字の処理を重点的に教えた方がいいような気がします。
アホ調査もうひとつ。ついでに言うと、この記事を書いた読売の記者さんも5W1Hという言葉を再認識してほしい。
以下引用
「蛙」?知らない大学生35%
大学生の3人に1人は、「春はあけぼの」の意味が分からない――。国立国語研究所の島村直己主任研究員らの研究グループが17日、千葉市で開かれた日本教育社会学会でこんな調査結果を発表した。
現代文は高校生より正答率が低く、研究グループは「大学生の活字離れが深刻になっているのではないか」としている。
調査は今年6~7月、国立大5校と私立大3校の1~4年生までの約850人に実施。古文4、現代文2の計6問を出題し、2年前に高校生1~3年生約1500人に実施した同一問題での調査結果と比較した。
それによると、古文では、枕草子の「春はあけぼの」の意味を「春は夜が明け始めるころが素晴らしい」と正答できた大学生は62・9%。松尾芭蕉の俳句「古池や 蛙飛び込む 水の音」の「蛙」について、「カエル」と答えたか、「かわず」という正しい読み方を答えた学生は65・3%だった。
また、童謡「赤とんぼ」の「負われて見たのは」の歌詞の意味を「背負われて見たのは」と正答できたのも61・6%にとどまり、「追いかけられて見た」という誤答が目立った。唱歌「夏は来(き)ぬ」については、「夏が来ない」と逆の意味にとらえた学生が多く、正答率は47・8%と半数を割った。
引用以上
うぉい!!この場合『カエル』と答えるのは明らかに誤答だろ。蛙を読めない(書けないならともかく)大学生が37.1%もいるのにはびっくりしますけども。この場合、グループ分けは『かわず(かはづ・かはず)と読んだ』『カエルと読んだ』『読めなかった』とするべきで、国立国語研究所の島村直己主任研究員らの研究グループは『さんすう』からやり直した方がいいと思います。あと、大学生の活字離れより、国立の研究機関でこんなアホ調査やってることに危機感を覚えてください。 それから、『蛙が古池に飛び込んだ情景をそのまま詠んだ』のか『蛙が飛び込んだ音によって静寂を感じた』のか『古池と蛙飛び込む水の音は別々である』かの解釈についてはどういうスタンスで聞いているのか。
そもそも、活字の送り手が言葉の使い方に鈍感すぎるのに、受け手の問題にする神経がよく分かりません。活字離れより、クレイジーな熟語の混ぜ書きや、山田悠介の小説を推す雑誌とかが実在することに問題提起したほうがよっぽど建設的な意見だと思います。それともアレですか、『こんだけバカな調査してますよ~、皆さん見抜いてくださいね』というテストですか。そうだと言ってください。
予想大会やってます。今回は天皇賞・秋
以前、六曜は差別につながるからイカーンという人を揶揄した文章を書いたことがあって『日曜が休みなのはええのん?』という結論だったのですが、
七曜もイカーンという方のブログを見つけました。じゃあどうしろっていうんだ。そもそも無宗教はひとつの宗教だと思うのですが。
コメント